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林原美術館でのコンサートのお知らせ

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6月25日に林原美術館で「マンドリンとチェンバロの煌めく夕べ」と題したコンサートを、マンドリン奏者の伊丹典子さんと行わせていただきます。 第一部はそれぞれのソロを、第2部はデュオで、ヴィヴァルディやスカルラッティなどマンドリンが生まれた、そしてチェンバロにもとてもゆかりの深いイタリアの作品を主に演奏したします。 マンドリンもチェンバロも弦をピンとはじくことにより音を出しますので、仲間といえる楽器です。 キラキラとした音の調和を目指して練習してまいりたいと思います。 お時間があれば、ぜひお越しください。 当日は、林原美術館のすばらしい所蔵品から備前と伊万里の展示があり、それもお楽しみいただけます。 チケットお問い合わせ:林原美術館 086−223−1733                            (詳細は以下をご覧下さい↓)

さまざまな技法

今日はご近所さんでもある日本画家の展示と、若い造形作家の眞嶋青さんの展覧会を観に天神山文化プラザに行ってきました。 日本画といっても表現するものは多岐にわたりますが、膠で色のもとを溶いたものは全て日本画に分類されるのだそうで、印象画のようなものからモダンな構図のものまで様々でした。 主に石を砕いて絵の具を作るのだそうですが、その砕く荒さによって様々な質感を表現したり、または和紙や箔を背景に使ったりと様々なテクスチャーを組み合わせて奥深い表現をすることがわかりとても興味深かったです。 眞嶋さんの作品は、磁器と陶器という接合が難しい素材をグラデーションのように混ぜることによって合わせるという斬新な発想によって制作されています。 表現のジャンルは違えど、この二つの展示を見て、異なる素材をいかに組み合わせるかというところにはひらめきと工夫が必要であるということ、なにより作品を一から生み出すのがいかに根気がいることかを感じました。 美しかったり、スタイリッシュな作品の裏にはまさに「産みの苦しみ」ありですね。 素敵な作品が沢山ありました。

留学時代の先生のお話

少し留学時代についても、書いてみたいと思います。 もう完全帰国してから一年半ほど経ってしまい、知らず知らずに記憶が風化しているところもあるかもしれませんが。 私は7年間にフランスのストラスブール、スイスのバーゼル、ドイツのフライブルクでチェンバロの勉強をする機会に恵まれました。 主に3人の先生とソロを勉強したわけですが、学校の先生以外にも沢山のチェンバリストたちのアドバイスを受けることができました。 先生方に恵まれたのは、幸運だったと思います。 最初に勉強したストラスブールで、アリーン・ジルベライヒ先生はチェンバロの基本的なタッチ、そして楽譜の読み方を教えてくださいました。先生は信念として「一人で分析ができれば、一人で弾ける」と常におっしゃっておられ、楽譜をいかに読むかということをとても大切になさっていました。 先生のタッチは素晴らしく、香り高い音楽を奏でられます。フランス人はとりわけチェンバロを素敵に奏される方が多いですが、アリーンの音楽も格別でした。 人柄も素晴らしく生徒の日常までも気にかけてくださり、かつ少女のようなラヴリーな雰囲気をも合わせ持つ先生ですが、そんな先生が「音楽は時に官能的で毒がなければいけない」とおっしゃっていたことは非常に印象に残っています。 次に、バーゼルではアンドレア・マルコン先生に教えて頂きました。 先生のクラスはその頃人数が少なく、先生は1ヶ月に一度しかいらっしゃいませんでしたが、レッスンは10時間ということもあり(つまり一日中)非常に密度の濃いものでした。 マルコン先生は「よい教師は多くを語らない」をモットーにされているようで、あまり細かいことはおっしゃいませんでしたが、生徒の演奏を全身全霊の集中力で聞いてくださり、それだけですこしづつ上手になるという魔法の様なレッスンの方法をとられていました。そして生徒が自身で本当に感じた音楽を奏でたときに、それがつたないものであっても心から喜んでくださいました。マルコン先生から習った一番大きなことは「音楽を聴く」ということそして「本当に自分の思う様に弾く」ということだったように思います。イタリア人のとても暖かい方で、先生の指揮する沢山のコンサートを聴いたこともかけがえのない体験です。 最後に、1年だけですがフライブルクではアメリカ人のロバート・ヒル先生のもとで勉強い

林原美術館「玉堂と文人画の世界」

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6月にコンサートをさせて頂く林原美術館にて現在、岡山出身の文人画家である浦上玉堂とそのゆかりの作品からなる素晴らしい展示が行われています。 私は初めて玉堂の作品を鑑賞したのですが、浦上玉堂の水墨画はどきっとするような筆致が用いられて、造形的にも思い切り丸っとしていたり、勢いのある点の描写などの組み合わせが大胆で力強いリズムを感じさせます。 ちょっとびっくりする様な表現に心をつかまれました。 一口に水墨画といっても、作者によってそれぞれ個性がありますが、 水墨画の表現はチェンバロのそれととても似ていると感じることがあります。 チェンバロは音量の変化が多くつく楽器ではありませんし、水墨画は墨という色彩に頼らない方法で表現します。 ですが、濃淡や空間の取り方、タッチの加減でいかようにも奥行きのある、大胆で強い表現も可能です。 昔に円山応挙の作品をみて、その精緻なエレガントさと余白による表現に感動したのですが、玉堂の個性あふれるタッチの多彩さは芳醇と躍動感を感じました。 とっても豊かな世界ですね。 明日までですが、おすすめの展覧会です! チラシ表裏↓ http://www.hayashibara-museumofart.jp/tenrankai/2015gazou/gyokudou.pdf