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デクラマシヨン

バロック時代のフランスの音楽はデクラマシヨン・バロックと言われる、朗唱法に深く根ざしているというのは最近の主流の見解であろうと思います。 17、18世紀の公的なフランス語の発音についての文献があって、その付属のCDを聞いていると、フランスにいる時には思わなかったことですが、音として確かに聞いていて心地よく美しいというものでもないなと思います。 とにかく舞台での発音なので、はっきりと意味を伝えるために誇張が多いですし、子音、母音も非常に強調します。 そして昔のフランス語の発音というのはどちらかというと今のカナダのフランス語に近いと言われていますが、少し田舎風の味わいがあります。 日本の平らな発音の中で生活していると、やや違和感すら感じますが、でもそれこそがフランスの発音であり音楽なんだということを忘れずにいなければ、都合良く滑らかで聞きやすいものに勝手に変換してしまうことになりかねません。 やっぱりヨーロッパの音楽を演奏するには、はっきりと発音し、そしてエネルギーを最大にしなければならないと思います。 日常の下手なフランス語でも、しばらく使っていないといざ話すと口と腹筋が疲れますが、しゃべるだけでそれだけエネルギーが必要な言葉を持つ人の音楽なのですから。 以下文献の詳細です Nicole Rouille :"Le Beau Parler François, La prononciation de la langue publique auxXVII ème et XVIIIème siècle" édition DELATOUR FRANCE 2010