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恩師のリサイタル

先日、自由学園明日館という、フランク・ロイド・ライト建築の素敵な場所で、桐朋学園でチェンバロを教えて頂いた有田千代子先生のリサイタルがありました。 見所、聞き所の一つとしてリュッカース一族によるオリジナルのチェンバロを使われたという事があるかと思います。日本にこのような銘器が存在することも驚くべきことで実際に素晴らしい音色の楽器です。ですが、コンサートを聞いていると先生の音楽の素晴らしさはむしろ楽器を超越したところにある、そんな気がしてきました。 先生の演奏は常に、ダイレクトに語りかけてきます。本当に声が聞こえてくるようです。 それはどの楽器で弾かれても変わらないことです。 楽器の倍音をめいいっぱいに利用して、音の洪水で聴衆を惹きつける演奏家も多いですが、先生ははっきりとした語りによって音楽を作られる方で、その甘くない優雅さ、深さというものは唯一無二のものであると、つくづく感じました。 かつてそうした先生の演奏に触れて「かっこいい!」とチェンバロにだんだん惹かれた時の気持ちを思い出したコンサートでもありました。 芸の道は長く、深いんだなーと感じます。私もトボトボとでも前進できるよう頑張ろう!と思います。

楽譜がダウンロードできるサイト

すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、好きなバロックの曲の楽譜が見つからないという声を伺うことがありますので、そんな時便利な膨大な楽譜をダウンロードして見ることができるサイトをご紹介します。 国によっても詳細な著作権の扱いは異なるようですが、ほとんどがフリーのものです。 IMSLP http://imslp.org/ 以下の様なものもあります。 Bach digital ヨハン・ゼバスティアン・バッハやバッハ一族の作曲家に関する、最新の研究成果にアクセスできるデータベース。 http://www.bach-digital.de/content/index.xed%3Bjsessionid=94C843A9BC90052EBB70CACF672D779B?lang=ja ガリカ(Gallica) フランス国立図書館の資料を電子化したものが閲覧できるサイト。 http://gallica.bnf.fr/

アルザスのハム

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留学の思い出の中で一番懐かしいのは、食い意地の張った私にとってはストラスブールのご飯といってもいいかもしれません。 美味しいハムやチーズやパンは、中々その土地でしか手に入らないものだけに、写真を見てはよだれをたらしています。 今日はストラスブール1の呼び声高いお肉やさんのハムを。。 このようにその場でスライスしたものを紙にぺたんと挟んで、アルミでくるんで渡されます。その簡易な感じもいいですね。 とてもジューシーでまろやかで今まで食べた中で最高のハムです。これをパンにのせて食べるだけで最高。チーズがあれば天国。 Frick Lutz というお肉屋さんで、ストラスブールには16 r. des Orfèvresと 20 rue d'Austerlitz Strasbourg Centreに二店舗あります。

イントネーション

イントネーションとは 話し言葉または朗読の際に、音節、語、句、文にアクセントを置くことによって生じ、文の態様(平叙文、疑問文、命令文など)に特有の、統語的にパターン化した音調をいう。 イントネーションは種々の言語的レベル(単文、複合文、テクストの種類など)や 話し手の心的態度、会話、言語の種類、方言などによって様々な変異形を示す。 (中略)イントネーション豊かな表現には、平板な生気のない表現に比べて明らかに聞き手を動かす力が含まれている。 「レトリック小辞典」 (同学社、2002年) 12頁より抜粋 レトリックに関する用語集の中で述べられているこのことは、チェンバロの演奏でいうとアーティキュレーションやアクセント、またそれによって生まれるリズムに密接に関わってくるとても興味深い記述だと感じます。 イントネーションで述べられているように、アーティキュレーションも奏者によって様々なバリエーションがあるのは当たり前のことですね。「オーセンティック」にするとみんな同じアーティキュレーションになるというわけではない証拠となる記述でもあると思います。バロック音楽はレトリックに根ざしているところが多いのですから。 みんなが違うしゃべり方でもそれぞれ説得力があるというような、そんな演奏が理想です。

おすすめの本〜チェンバロ〜

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この本はチェンバロ制作者の久保田彰さんが著されたものです。とても丁寧な説明があり、なんといっても素晴らしいdvdが付いていて、それをみると普段見ることのできないチェンバロの内部構造も知ることができます。 チェンバロの祖先にあたる楽器の美しい演奏も入っています。 チェンバロについて、読んで、見て理解の深まる本だと思います。 オススメです! 「チェンバロ」歴史と様式の系譜 (ショパン、2009) 久保田彰著 定価¥3800 外税