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スレンチェンスカさんのリサイタルを聞いて

昨日はルネスホールで行われたルース スレンチェンスカさんのピアノリサイタルを聴きました。 スレンチェンスカさんは1925年生まれの92歳。神童と謳われラフマニノフにも師事したという生きるレジェンドと言って良い方です。 思い起こすと実は私も一度だけ大学生の時にレッスンを受けたことがあるのですが、とても小柄で可愛らしい女性なのですが音楽に妥協を許さない強さをお持ちの方という印象を受けたことを思い出します。 コンサートではまず、スレンチェンスカさんの登場から私たちは何か特別なものを感じていた気がします。それはスレンチェンスカさんの心からの笑顔からかもしれません。演奏することが嬉しくて仕方ない、聴衆と音楽を分かち合うことの喜びを真に感じていらっしゃることが演奏の前から伝わってきます。 一音一音に魂がこもり、ピアノと語らっているという印象のモーツァルト。スレンチェンスカさんとピアノとのパーソナルな対話を聴衆は拝聴するといった趣きがあったような気がします。 ラフマニノフは色とりどりで雄大かつ繊細なもので、一般的な豪放磊落といったイメージを覆す本当に魅力的な演奏でした。 芸術というのは素晴らしく、日々精進することはそれだけでも尊いことなんだということを目の当たりしたコンサートでした。 私はスレンチェンスカさんのお歳まであと60年近くあり、自分なりの歩みでもこれまでの学びをもとにこれからも良くするために試行錯誤できうるものがあることは幸せなことかもしれないと思いました。 主催者の方が「先生はたくさんおやりになりたいことがあり、まだ死にたくないとおっしゃってます。」とユーモアを交えて紹介なさっていたのを聞いた学生時代の恩師が「とてもわかるわ。ずっとピアノを弾いていたいもの。」とおっしゃったのも本当に心に残りました。 音楽を心から愛する方たちに出会い、導かれたおかげで私もこれまで音楽を続けてこれたのだということを改めて知った1日でもありました。