チェンバロの調律と調整:マルティンのお話

チェンバロの調整というのは本当に根気のいる作業です。
タッチがびしっと揃って音のバランスも思い通りということはなかなか難しいことですが、ヨーロッパ人は結構いい加減にもかかわらず、私が勉強した3校またはコンサートで弾かせていただいた楽器はいつもかなり良いコンディションでした。やはり気候などもチェンバロに合っていて精密な調整をいつもいつもしなくても良かったのかもしれません。
日本は湿度や温度もジェットコースター並に変化しますので、そういった意味ではチェンバロには大変ですね。私のチェンバロもそのためか日本に入れてからかなり音質が変わりました。

そして調整以上にマジックと感じるのが調律です。
学校のチェンバロを担当していたバーゼルの調律師のマルティンを、私は未だに本当に魔法使いだと思っています。(わー今日は硬いなー。)とジャックの爪のひっかかりがとても強く感じるときも、マルティンが調律をしただけでタッチまでマイルドになってしまうという経験を何度もしました。物理的にかかる力は変わらないはずですから本当に不思議です。
「マルティンが調律してくれれば絶対にうまくいく」と思える調律師さんでした。
それは言葉では説明できず、無理に説明しようとするとただのヘンな人と思われかねないことですが、実際に経験したことなんです。だれかわかってくれないかな。





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